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       雨森芳洲の里3
   韓国中高校生のホームステイ

 琵琶湖の北、長浜市高月町・雨森芳洲の里では、1990年代から毎年夏と冬、研修旅行で日本にやってくる韓国の中高校生をうけ入れ、住民の家にホームステイさせ交流を深めている。

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    水車がまわる 雨森芳洲の里

 韓国の中高生は、韓国青少年連盟の青少年で韓国全土から選抜されて、8日間の予定で日本を訪れるのであるが、民泊は芳洲の里だけであるという。

 「高月町国際交流協会」では、東アジア諸国との交流を積極的に推進するため、最初の事業として来訪する韓国の中高生たちを受け入れ、日本の文化や生活・習慣などを直接体験してもらおうと、芳洲の里の民家に宿泊させることにしたのである。

 一泊二日であるが、異国の2,3人の子供を受け入れる家庭では、言葉が通じないことや生活習慣や嗜好の違いなど、異国からやって来る中高生たちに満足してもらえるのか、不安がいっぱいだったという。

 しかし、不安は無用であったようである。この行事を見守ってきた元芳洲庵館長の大村一雄氏は、
 「ホストファミリーの家庭では、心づくしの料理でもてなそうとしたが、言葉が通じずせっかくのご馳走が口にしてもらえずに残念な家庭も多かった。しかし、入浴後の夕涼みや広場で催した村の子供たちとの交流会には、女生徒たちはみんな申し合わせたかのように、日本人の民族衣装である浴衣に色とりどりの帯をしめてもらって参加したのである。彼女たちは大喜びで得意満面の表情であった。そして、彼女たちを笑顔で見守るホストファミリーの人たちの温かい眼差しがそこにあった」と述べている。

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      韓国高校生と地元民の交流風景

 交流会での韓国の生徒たちは、地元の特産品のスイカを並べてスイカ割り競争、金魚すくい、餅つきなど日本固有の催しを村の子供、お母さん、おばあさんらと楽しみ、異文化の体験を重ねて、喜びを胸いっぱいにふくらませていたという。

 すばらしい日本の田舎の夜を楽しんだ生徒たちは、翌朝には満足し切った表情で集会場に集まった。僅かに一泊のえにし(縁)であるにもかかわらず生徒たちは、「日本のお母さんとてもやさしい」「日本のおばあさんとても親切」だったと口々に語り、女生徒たちは見送りにきたホストファミリーのお母さんやおばあさんの手をとり肩を抱き、涙を流しながら「カムサハンニダ、カムサハムニダ」をくり返して、別れを惜しんだという。

 いま、ホストファミリーの家々にホームステイした生徒から、お礼の手紙がつぎつぎ届いているという。

 大村一雄氏が紹介した2通の手紙を要約掲載する。
 「・・・おじさん、おばさん、お姉さんに会いたくなると私はおばさんからいただいたお人形を見て、日本を思い出している毎日です。14時間という短い時間をすごさせて頂きましたが、それはまるで、私がそこに行って、いつの頃より知っている所のような感じがして一層なつかしかったです・・ 韓国固有の韓服を送りします。
 みなさんがして下さった親切に比べものになりませんが、私の真心と思ってお受けとり下さい。何時の日かぜひ韓国に来られたときには、私の住む安東を訪問してください。私も、来年はきっと日本へ行こうと思っています。(行くことを約束します)。また、お便りを致します。
 お体を気をつけて、また、会える日まで」

 国や民族を超えて、人と人の温かい友好の思いが伝わってくる文である。また、民間レベルの文化交流の大切さを教えてくれるようである。

 日本へ研修旅行に行くことを両親や周辺から反対されながらも参加した女生徒は、
「・・・私が想像していた暗い嫌な日本人や日本国とは、大違いでした。日本人はとても親切でやさしい人ばかりでした。日本国はとても美しい国でした。私は一週間の研修旅行で、グッドフレンドを沢山つくって、人生のすばらしい旅の思い出をつくりました・・・」(『わが町に来た朝鮮通信使<東アジア交流ハウス・雨森芳洲庵の記>』)と書き、それまでの日本に対するイメージが大きく変化したことを伝えている。

 韓国の青少年にとっては、一泊のホームステイであるが、もてなしてくれた芳洲の里の人たちを通して、日本に対する印象を良くし、日本人に親密感を抱くようになったと思われる。

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       雨森芳洲の里・公園

 今や、芳洲の里の住民と韓国の青少年とのホームステイ交流会は、毎年夏冬の恒例の行事として定着しているという。

 江戸時代、先進的な国際感覚の持主だった雨森芳洲が、生涯をかけて実践した誠信外交の精神が、今、芳洲の里の村人たちに受け継がれて、日韓友好のほのぼのとした花を咲かせているようである。

  芳洲画
         雨森芳洲肖像画 

 こうした、芳洲の里での民間レベルの善隣友好・文化交流 の輪を広めていくことこそが、国家間の関係改善、相互理解、共存共栄の扉が大きく開かれ、東アジアや世界の平和につながってゆくのではなかろうか。
つづく
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