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2019.11.13
朝鮮通信使72
牛窓の海遊文化館
1992年の春、岡山県瀬戸内市牛窓町に海遊文化館がオープンした。同年の秋には、江戸時代の朝鮮通信使行列を再現するパレードが行われるようになった。

牛窓海遊文化館 後ろ本蓮寺三重塔
海遊文化館は、朝鮮通信使牛窓寄港350周年祭(1986年)のときに開設した朝鮮通信使資料館を充実させると共に、牛窓町に伝えられるだんじり(山車)を展示する博物館である。
朝鮮通信使船団が瀬戸内海を往来した中で、牛窓に寄港したのは17回に及ぶ。
海遊文化館の名称は、第9次(1719年)の朝鮮通信使の製述官申維翰(シン・ユハン)の『海遊録』(日本往還の記録)に因み、「海」と「遊び心」を加味して名付けられたと言う。
海遊文化館は、牛窓港の近く本蓮寺への道すじにある。白壁に窓はステンドグラスをはめた洋風のモダンな建築物(国登録有形文化財)、明治時代に警察署とし建てられ使用された施設である。
内部の朝鮮通信使資料室には、通信使の牛窓寄港時の交流資料と通信使の正使、副使の等身大の人形のほか、朝鮮通信使行列を50体の人形や馬で再現している。

通信使正使・副使の人形
パネル展示では、瀬戸内海を航行する船団図、入港する様子を描いた絵図、通信使行列絵巻、牛窓町筋絵図のほか、韓国国立中央博物館に所蔵されている搓路勝区図(10次朝鮮通信使画員李聖麟の画集)の牛窓場面の複製や写真などが展示されている。
とくに注目されるのは、朝鮮通信使に由来する「唐子人形」を全国各地から収集展示していることである。
京都の伏見人形・人形名「朝鮮通信使」、広島県福山の常石張子・「ラッパ男」、滋賀県五個荘町・小幡人形「唐子人形」、山形県米沢市の相良人形・「虎乗り唐子」、奈良県桜井市の出雲人形・「唐子」など、八か所の地域から16種類の人形が並んでいる。

新たに作られた牛窓唐子人形
ラッパを吹く様子や、馬に乗った唐子、てっぺんの高い帽子をかぶった人形など、朝鮮王朝(李朝)時代独特の風俗をうかがい知ることができる楽しみな展示である。
海遊文化館は、国際交流や地域文化の新たな拠点としてオープンして以来、毎年入場者が増えつづけていると言う。
また一方、海遊文化館のオープンした同年秋から、善隣友好の歴史を伝える朝鮮通信使行列を再現したパレードが行われようになった。

チマ・チョゴリ姿で日・韓・在日コリアンの行進
このパレードは、地元の人々はもちろん、瀬戸内市と交流関係を結んでいる韓国・密陽市から中学生らが毎年派遣され、神戸市にある駐日韓国総領事が「正使」役として参加し、岡山朝鮮学校の生徒、在日コリアンが加わり盛大に行われていると言う。
今年のパレードには、日韓両政府の関係悪化により密陽からの中学生の参加が見合わせとなったが、ソウルの柳韓工業高校の生徒が初めて参加してパレードを盛り上げたと言う。

朝鮮通信使再現パレード本蓮寺入場
パレードの「正使」役を務めたパク・キジュン総領事は、「日韓の政治関係が難しい中、牛窓の地域の人たちの思いをうれしく感じます。今後も多様な民間交流につながっていってほしい」と話した。

牛窓港の現代の風景
これからも、平和と善隣友好の歴史を伝える朝鮮通信使の再現パレードや多様な文化の民間交流は、政治状況に左右されることなくつづけられることを願ってやまない。
つづく
1992年の春、岡山県瀬戸内市牛窓町に海遊文化館がオープンした。同年の秋には、江戸時代の朝鮮通信使行列を再現するパレードが行われるようになった。

牛窓海遊文化館 後ろ本蓮寺三重塔
海遊文化館は、朝鮮通信使牛窓寄港350周年祭(1986年)のときに開設した朝鮮通信使資料館を充実させると共に、牛窓町に伝えられるだんじり(山車)を展示する博物館である。
朝鮮通信使船団が瀬戸内海を往来した中で、牛窓に寄港したのは17回に及ぶ。
海遊文化館の名称は、第9次(1719年)の朝鮮通信使の製述官申維翰(シン・ユハン)の『海遊録』(日本往還の記録)に因み、「海」と「遊び心」を加味して名付けられたと言う。
海遊文化館は、牛窓港の近く本蓮寺への道すじにある。白壁に窓はステンドグラスをはめた洋風のモダンな建築物(国登録有形文化財)、明治時代に警察署とし建てられ使用された施設である。
内部の朝鮮通信使資料室には、通信使の牛窓寄港時の交流資料と通信使の正使、副使の等身大の人形のほか、朝鮮通信使行列を50体の人形や馬で再現している。

通信使正使・副使の人形
パネル展示では、瀬戸内海を航行する船団図、入港する様子を描いた絵図、通信使行列絵巻、牛窓町筋絵図のほか、韓国国立中央博物館に所蔵されている搓路勝区図(10次朝鮮通信使画員李聖麟の画集)の牛窓場面の複製や写真などが展示されている。
とくに注目されるのは、朝鮮通信使に由来する「唐子人形」を全国各地から収集展示していることである。
京都の伏見人形・人形名「朝鮮通信使」、広島県福山の常石張子・「ラッパ男」、滋賀県五個荘町・小幡人形「唐子人形」、山形県米沢市の相良人形・「虎乗り唐子」、奈良県桜井市の出雲人形・「唐子」など、八か所の地域から16種類の人形が並んでいる。

新たに作られた牛窓唐子人形
ラッパを吹く様子や、馬に乗った唐子、てっぺんの高い帽子をかぶった人形など、朝鮮王朝(李朝)時代独特の風俗をうかがい知ることができる楽しみな展示である。
海遊文化館は、国際交流や地域文化の新たな拠点としてオープンして以来、毎年入場者が増えつづけていると言う。
また一方、海遊文化館のオープンした同年秋から、善隣友好の歴史を伝える朝鮮通信使行列を再現したパレードが行われようになった。

チマ・チョゴリ姿で日・韓・在日コリアンの行進
このパレードは、地元の人々はもちろん、瀬戸内市と交流関係を結んでいる韓国・密陽市から中学生らが毎年派遣され、神戸市にある駐日韓国総領事が「正使」役として参加し、岡山朝鮮学校の生徒、在日コリアンが加わり盛大に行われていると言う。
今年のパレードには、日韓両政府の関係悪化により密陽からの中学生の参加が見合わせとなったが、ソウルの柳韓工業高校の生徒が初めて参加してパレードを盛り上げたと言う。

朝鮮通信使再現パレード本蓮寺入場
パレードの「正使」役を務めたパク・キジュン総領事は、「日韓の政治関係が難しい中、牛窓の地域の人たちの思いをうれしく感じます。今後も多様な民間交流につながっていってほしい」と話した。

牛窓港の現代の風景
これからも、平和と善隣友好の歴史を伝える朝鮮通信使の再現パレードや多様な文化の民間交流は、政治状況に左右されることなくつづけられることを願ってやまない。
つづく
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