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         端午風情      
       (たんごふぜい)

 朝鮮朝(李朝)時代に女性を描いては随一といわれた申潤福(1758~1813)の代表作である。
 五月の端午を迎え、妓女たちが郊外の小川ほとりでブランコに乗ったり沐浴したりしている。
 まことに春の気配あふれる場面である。

  風情

 右上の女性の一人は木にもたれながらすき終えた長い髪を持ち、それを頭の上に編み上げようとしている。
 隣の鮮やかなチマチョゴリの女性は、ブランコのに乗ろうと板に片足を乗せ、綱を両手で握っている。
 そのしぐさは、いかにも艶やかである。
 たくし上げた紅色のチマから下着が覗かれ、上のチョゴリは袖先、結び紐、脇下を紫色で飾る三回装チョゴリといわれる派手なもの。
 小川の左側は、沐浴する半裸の女たち、チマは着けているが、上半身は裸で、裾はたくし上げられ太腿や尻まで露出している。
 それを盗み見ようと二人の坊主が左の岩の陰に描かれており、絵としてはまことに巧みな配置である。
 そして、これら三者を引き締めるのが、右下の頭の上に食物を乗せ、堂々と歩む一人の働く女性である。
 体躯は大きく、腰回りは臼のよう。胸はさらけ出し、乳首まではっきりと分かる。
 それは、結婚して、男の子を生んだ母親ですよと誇っているようである。
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