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          打作図        
         (ださくず)

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 金弘道(キム・ホンド)は、絵画の主流となっていた、中国風の空想的な山水画を描くことはなかった。
 彼の多様な作品を貫いたのは、生活し、働いている当代社会の名もない人々を主人公としたこどである。
 この「脱穀の図」を見ることにしょう。 
 6人の農民が稲束を運んできて、大きな枯れ木に打ちつけ、籾を取る作業をしている。
 その顔は働く喜びが表情に出ていて、活気に溢れている。
 人物を描く線は、よく見ると太く細く、リズムをもって正確に描いていく絶妙の線描であることがわかる。
 右上にいるのは、横に酒瓶を置き、長いキセルをふかしているマルム(小作管理人)という男、
 都市にいる不在地主の委託を受け、現地にあって小作人を管理し、小作料の取り立てなどを行う人物。
 朝鮮王朝でもっとも安定した18世紀、
 マルムも農民が準備してくれた酒を横に置いて、のんびりと間の抜けた顔をしておれたのだ。
 金弘道も良き時代を背景に、働く農民の姿を生き生きと描いた傑作を残すことができたのである。
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