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2016.01.30 高麗の里38
       「在日白衣民族の聖地」

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      聖天院勝楽寺 本堂前左側 枝垂桜 河正雄さん植樹

 2000年11月3日、聖天院勝楽寺本堂の竣工の落慶開眼法要を祈念して、在日韓民族無縁之霊除幕、開眼法要の式典が厳かに行われた。式典において、在日同胞二世のハ・ジョンウン(河正雄)さんが感動的な式辞を述べられた。長文であるため前半部分を紹介する。
 「振り返りますと 20世紀は韓日、朝日、両民族の歴史に於いて、まさに激動の時代でした。在日同胞百年の歩みはまさにその象徴であります。この百年の間に、祖国を離れた遠い異国の地で、望郷の思いを噛みしめながら痛恨の生涯を終えられた人々はどれほどの数になるでしょうか。いたずらな経済的繁栄の中で過去を忘れ、歴史の事実が埋没せぬように異国に果てた犠牲者の無念を慰安せんが為に、数年前、ここ聖天院本堂建立を記念して埼玉県居住の在日一世ユン・ピョンド氏が発願し、聖天院寺域の奥山に、在日韓民族無縁之霊碑並びに納骨堂と慰霊塔を建立されました。
 民族の統一を願い、民団、朝総連の垣根を越え20世紀の時代、歴史の中で犠牲になられた在日同胞の御霊と渡来人の御霊が安眠出来るように供養したいという願いからであります。
 植民地時代と戦後、そして今日に至るまで我が同胞は家業に精励し、子弟を養育しあらゆる苦難を乗り越えて祖国や日本の発展に大きく寄与貢献してきました。人間らしく生きるために人権を守り人格を高めてきた在日のヒューマニズム魂は誇り高く崇高で健全である発露であります。

 この慰霊祭が心ある方々の尊い浄財によって開かれますことはひとえに聖天院様を始めとする、関係各位の皆様がそれぞれの立場を乗り越え真の平和と友好を願い、心を一つにしたことの賜物と思います。
 1250年の縁起をもつ、高句麗王若光を祀る聖天院本堂建立落慶法要の記念すべき節目の日に過去の不
幸な歴史を風化させることなく、21世紀を担う世代へと伝えていくことは我々に課せられた、大きな使命であり勤めであります・・」

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     高麗の里開拓の父 高麗王若光が眠る墓  聖天院入り口付近
   
「白衣民族の聖地」が、渡来人ゆかりの「高麗の里」に誕生したことは意義深いことである。
 故郷を離れ異国の地で犠牲となり、遺骨になってからも放置されたままおかれた在日同胞一世たちの無念を癒し、その御霊に、この地を築いた高麗の人々と共に永遠の安眠供養される聖地が与えられたのである。
 「白衣民族の聖地」は、無縁仏の存在を知る在日同胞はもちろん、心ある日本人もまた、胸のつかえがとれるようなホッとした気持ち、心安らかにしてくれる場所になるであろう。

 しかし、河正雄さんが式辞で述べているように、「在日白衣民族の聖地」建立を契機に、不幸な歴史を風化させることなく次世代にしっかり伝えていくことが大事なことである。
 21世紀もすでに15年が過ぎ、祖国はいまだ南北に分断されたままである。生まれ育った故郷を知る在日同胞一世のその殆どは世を去り、日本生まれ、日本育ちの3世、4世、5世が在日同胞社会の主流を占めるようになった。彼らの中にはなぜ日本に在住しているのか?祖父母がどうして故郷を離れて日本に渡来してきたか?自らのルーツさえ知らずに成人している人が増えるている。

 
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          高麗の里の風景  聖天院本堂前より撮影 
    
  筆者は高麗郡建郡1300年記念を迎え、「高麗の里」の歴史とともに、ユン・ピョンドさんやハ・ジョンウンさんを始め「在日同胞篤信者たち真心」によって 高麗王若光が眠る聖天院寺域内に「在日同胞白衣民族の聖地」が建立されていることを、広範囲な在日同胞社会に広報しなければと痛感している。つづく
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