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  この日、黒い雲に隠れた太陽が

  姿を見せる状況では全くなかった。

  ただ、雲のすき間から顔を覗かせるのではないかと、

  わずかな望みにかけて、カメラを構えて待った。

  しばらくすると、黒い雲の中から

  ささやくような不満の声が聞こえてきた。

  「地球上の人間どもは

   宇宙の中で太陽だけが大事なもので、

   太陽以外は必要ないかのように、

   日の出だ、夕陽だ、御来光だ、

   ダイヤモンド富士だ、太陽神だとか

   朝から晩まで、年から年中

   太陽、太陽を持ち上げ騒ぎたて、

   マスコミのカメラは太陽にだけに向けられている!」

  また、別の黒い雲の中から、

  「そうだそうだ、人間どもは日照りがつづき、

   旱魃になり、水不足になったときだけ

   大変だ、大変だ雨を降らせてくれと

   おれたち雲を望むが、それも瞬間的で

  、日常は迷惑な存在だと思っていやがる、

   まったく腹立つよ!」

  その隣にあった薄い雲の中から、

  「今日は、おれたちが太陽の丸い顔を歪めて、

   おれたちも太陽より威力を持っていることを、

   人間どもに見せつけてやろうではないか!」

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  最後に声を出した白い雲から

  「これだけでは、人間どもは

   おれたちの威力を信用しないから

   丸い顔を少しだけ歪めて、

   顔色も夕日の色を白く塗りつぶそう!」

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  上のような光景を見ていると、雲の中から聞こえた声が

  真実のように聞こえる。

  神秘的な光景や、不思議な光景は、必ず雲がからんでいる。

  いろいろな変化する雲の存在があって、

  太陽の有難み、尊さ、神聖な存在となりうるのだろう。
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